drunken J**** in a motel room

文字通り酔っ払った時に書いてるブログ

2023年私のベストブックス

新幹線移動につぐ新幹線移動、そして禁酒後にあまった夜の時間を利用して社会人になってから一番本を読んだ一年でした。

ベストブックスの山

・きむ・ふなさん選の韓国文学ショートショートシリーズ。

30分程度で読めてこのクオリティ。各作家の別の小説も読みたくなるのですが未翻訳のものも多いようです。フェミニズム文学という文脈で広く知られるようになった韓国文学ですが当然そこにのらない小説もたくさんあるわけです。シリーズものなのでこうやって本の高さやスタイルが揃っているのも素敵。本棚に並べるといい感じです。

 

スーザン・ソンタグ日記

横浜にたくさんいったのですがぴあアリーナ近くの商業施設に入っている雑貨屋+本屋でたまたま買ったもの。数ページぱらぱら読んで圧倒されたためこれは時間つぶしに読むものではなく気合をいれて座して読まねばと襟を正しました。

20世紀最高の批評家が書いた日記を盗み読んでいるような背徳感、そして自分との距離に圧倒されます。知への渇望。”教養”という言葉は近年特に使う人によって乖離のある言葉となっていますがここには私にとっての本物の”教養”があります。

 

・ロシア留学についてのエッセイ

ロシア文学に対して並々ならぬ愛を持っている人はこの日本にも少なからず存在すると思います。そして現在ロシアが迎えている状況に対してどう向き合うのか。亀山さんのかつて新聞に寄せていた論考も思い出されます。純粋な文学への愛、羨ましい。

 

ホールデンでもグラースでもないサリンジャー

このサンドイッチマヨネーズ忘れている、はまあまあという評価だったのですがこの短編集には完全に頭をやられてしまいました。ピクタコンに向かう新幹線で読んだと思うのですが、表題の一つである「逆さまの森」の最後数ページを読んでしばらく息もできないくらいになりました。サリンジャーはいろんなからかわれかたをしがちな近年ですが、こういう物語をさらっと書けるその凄さを知ってほしいです。子供の頃から親しんできた金原瑞人さんの翻訳という点も私には大事なことです。

 

・ウル、のもたらすもの

難しい本で何回もページを行ったり来たりしました。

わからないけれど素晴らしいことはわかります。私は批評家ではないので素晴らしさを言語化しなくてよいのがありがたいです。すごい小説です。

 

フェミニストにも色々な形があります

ひとつのスローガンを掲げる必要はない、フェミニストという言葉を使うのが怖くなるのは誰かがそれを一つのイメージに落とし込もうとするからです。この本の序章をみれば肩ひじを張ってフェミニストである瞬間もあれば、そうではないゆるやかに連帯を感じる瞬間もあること、そんな自分を受容することができます。

 

・もう一つの現代批評、ナオミ・クライン

こんなにも現代社会を予見したものがあったのか。名前だけをしっていた名著を読み直すきっかけをくれました。

 

・ピンチョンで一番読みやすい小説でありながら・・・。

5年位かけて読みました。ピンチョン小説に関しては物語を追う必要はないと割り切っているのでちょこちょこと読み進めようやく終了を迎えることができました。最後は終わりたくなくて2ページずつしか読まないみたいなときもありました。

次はVか重力の虹を終わらせるために旅にでます。