巷では生理と貧困についての現代ビジネスオンラインの記事が話題になっています。
コスメは買えても生理用ナプキンは買えない、日本の生理の貧困、という見出しを付けられてしまったその記事は私にとっては意外な展開を見せている。
(この見出しの嫌らしさは論外だけれど)
この記事が訴える1番の問題は貧困のせいで、基本的人権が揺るがされているという事実だと受け取った。
これに対しては行政のなんらかの助けが必要だと言う事。貧困に対する根本的な対策をするべきだけれど、そこまで大規模なことができないならせめてナプキンを無償で配布するなど。
しかし、ツイッター上で北村紗衣氏に突然月経カップの動画を貼り付けリプを送るおじさんが現れた事で事態は明後日の方向に走り出した。
おじさんはナプキンが買えないなら月経カップを使う選択肢がありますよ、という意図なのかTwitter上で色々な人にその動画をリプとしてばら撒き始めた。
月経カップ啓蒙活動家として。
おじさんの問題点は大きく分けると２つある。まずこの記事の論点は如何に経血をキャッチするかということではないのにその議論に拘泥することで、本来語られるべき貧困と社会がそれをどう掬い取るかという問題がおざなりにされる事。
次に専門家でもない異性が生理の当事者に向かって啓蒙活動をするという構造のおかしさに気づけない事。自分自身の社会的な立場を振り返った時それを公の場で、他人に議論をふっかけてまで語る権利があるのかは各人がよく考えていかないといけない事ですが、それができないからこういった発言をしてしまうのでしょう。
貧困でナプキンを買えない女子中高生が見知らぬ異性に、ナプキンが買えないなら再利用できるカップがありますよと(例えツイッター上ででも)言われたとしたらとても傷つくしトラウマティックな体験だと思う。例えそれが善意であったとしても。
しかしながら、その記事自体のツイートに宛てられたリプライを見ると、もっと目を覆いたくなる発言に満ちている。
"コスメ買ってる金があるならそれをやめてナプキン買えよ"
なるほど、記事の見出しにうまく釣られたタイプの人間ですね。メディアにのせられやすく詐欺やマルチその他諸々に引っかかっている/引っかかる可能性が高いので人を批判する前に自分を見直した方がいいですよ。
コスメにお金を使うかナプキンにお金を使うかみたいな2択をせまる社会が圧倒的に間違っているとは思わないですか？
(最低限の話をしていてこれを拡大解釈していく人もいるのだと思いますがそんな議論をして何の意味がある。)
コスメを買えるなら貧困じゃない、と貧困のラインをどんどん狭めていく事に、当事者を追い詰める以外の意義ってあるのか？
"昔を布で代用していた。今も布ナプキンがある"
高性能で便利なものが手に入る世の中で(しかもそれはナプキンのように生活必需品で贅沢品ではない)、それを買えないなら前時代的方法をとればいいというアンサーは社会の敗北宣言に等しいのでは。。。
生理ちゃんのときもそうだったし、生理と射精論もそうだったし、今回もそうだけれど男の人はなぜ生理に対して口出しをしたがるのか。
どうしても知り得ぬ事だから語りたがるのか。知り得ぬことなのにどうして知っているように語るのか。
生理に関する問題くらいまずは女主体で議論をさせてくれ。プッシー(概念としての)を私たちに返して下さい。
わかって欲しいわけでもなく、共感して欲しいわけでもないです。知っておいて欲しいだけ。
その違いがわからない人が多すぎる。
最近はやりのフェムテック業界もこう言う状況なので当然慎重になるべき。
言うまでもなくハヤカワ五味氏を筆頭とした各種サプリメントビジネスの事ですが。
(彼女の今回の騒動に対する弁明インタビューは悲しくなるほど酷かった。今回の騒動の問題は"誤解を招く表現"にだけあるような物言い、"違法な成分を使っていない"が繰り返される違和感。(成分が違法であれば別問題のヤバさ。そうじゃないのは当然でしょ？違法なのは効果が実証されておらず医薬品ではないのに効果ぎあるように宣伝したことでは？)。吉村知事イソジン問題以来の、論文とか研究の解釈の仕方を知らない人がそれを根拠に物事の正当性を主張する危険性。))
ところで、今回の騒動をネットで追っているうちにフェミニストを叩くのにフェミニストはトランス差別主義者だという論法を発見した。
フェミニストも沢山のレイヤーに分かれているので多分そう言う人もいるのでしょうが、ウイグル論法のように使用しているひとも散見され頭が痛くなるようなカオス状態。
もうそろそろ論破とか相手を叩きのめすために差別に差別を重ねるのやめません？
